俳句集1 割烹着 哀悼 No3 藻川亭河童 
ひたすらにただひたすらに通夜の雪 藻川亭河童
万両の赤で割りたるロックかな
朝飯や褞袍に垂るる乳房かな
どんど火やするめに背なの曲線美
抱き逢ふて厳寒溶かす欅かな
「蹴りよった?」胎に耳当て抱く寒夜 藻川亭河童
御節会の薬缶重たき女学生
東雲や朱の色相なれ山冴ゆる
誰が妻と神は納めり春着の娘
同胞の誰かれ逝きし寒椿
寒椿ほたりほたりの鉄路かな 藻川亭河童
ハイボールの泡に音する寒の入り
日向ぼこ影より逃げぬ意地っ張り
ヘリ轟音地には震災鎮魂歌
花ぬす人伊予のをんなし寒見舞
成人や御髪に色香も零れけり 藻川亭河童
皸やメンタム弾く鍋磨
お〜いお茶!抑揚変えし寒の雨
哀しきは夜辻の壱拾円厄落とし
原曲は波浮の港です寒椿
紅い靴一番線の冬陽かな 藻川亭河童
鈍より春雨しんこかんこの音のせり
かあさんの忌日も忘れ春の酒
靖子てふとほき女の茶の樹咲く
靖子てふとほき女や一葉忌
綿入れや夜汽車の汽笛袖に入る 藻川亭河童
零れたる涙も凍みて夜汽車かな
母恋いや月を離れぬ冬の星
冬林檎あちきの呪ひ解ひとくれ
はんけちに粉雪うけし通夜帰り
迎へ待つ母に添ひ寝の小夜時雨 藻川亭河童
黄落や哀しへんねし襷解く
理髪屋の香り運びて秋澄めり
腰に手を左右に交差星月夜
手は腰に左右に交差星月夜
秋翳り駅売り紙面に派手模様 藻川亭河童
金持ちは喧嘩せずかな榎の実
律義にも同じ穴より曼殊沙華
かなぶんや金蔵建てて贖罪す
夢の獏蒼い毬栗育ており
アサガオの小さくなりて星ひとつ 藻川亭河童
ハタハタの弾ける如き花時計
甚平や萩に茜の娘のうなじ
作業着の下を駆け抜け秋の風
朝涼や齢哀しき路傍かな
ゆく秋や足は古傷引き摺りて 藻川亭河童
白粉花の六色となりならびっこ
白粉花の早や種となれ花瓢
どの人もみな偉く観ゆ秋の街
堂島はみな偉く観ゆ朝の秋
竜胆の蒼に染まりし吐息かな 藻川亭河童
なむとなく空も虚ろに秋冷ゆる
秋冷えて空も虚ろにいくさ痕
いわし雲えんぴつなめし投票所
冬木立へんねじてふ字女偏
落葉坂君が好きやと遺し坂 藻川亭河童
軍手の白時雨に映えるアーク灯
時雨るるやトトロの石碑動き出す
初冷えの暗き払暁汽車はゆく
帯締めて靖子も女初詣
次回をお楽しみに! 2006.02.08 07:23
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